アルフレッド・デルヴォーからカトリーヌ・ド・レシァル公爵夫人への手紙
盗難事件の事はいまだに理解出来ません、あのさながら要塞の如くの公爵の館の警備を、どのようにかい潜って階段の踊り場まで上がって行けたのでしょう?
しかしカトリーヌ、私は不思議な事に何故か清々しているのですよ。族があの肖像画を闇に葬ってくれる事を心の何処かで望んでいるのです。
願わくば、それをアンリ四世ホテルの玄関にでも捨て置いて行ってくれれば、きちんと仕上げをして再び公爵にお渡ししたいと信に思っているのです。
報告が遅くなりましたが、一週間ほど前にそれこそフェルメールの作品らしきものが出て、私に修復の依頼がありました。修復は私の専門とするところではありませんが、風景画はある意味専門なのです。
しばらくの間、これに集中させていただきたくお願い申し上げます。
18++年
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