
106.
切りたった廃墟の山。
其の北側の狭くえぐられた谷あいのはずれ。
灰色の城。
城主はアントニオ・グリマニ。
クレア、今日書店で唐突にグリマニ卿に声をかけられました。
「うらら、クレア・グラットン嬢ではござりませんか。御久しう。御息災であられましたかな。」
私、説明がわずらはしくって、
「グリマニの伯父様。わたくし努めて達者でございました。伯父様ったらちっとも変わらないこと。其れでは御機嫌良ろしう。」
御挨拶は頗る約めさせていただきました。
106.
切りたった廃墟の山。
其の北側の狭くえぐられた谷あいのはずれ。
灰色の城。
城主はアントニオ・グリマニ。
クレア、今日書店で唐突にグリマニ卿に声をかけられました。
「うらら、クレア・グラットン嬢ではござりませんか。御久しう。御息災であられましたかな。」
私、説明がわずらはしくって、
「グリマニの伯父様。わたくし努めて達者でございました。伯父様ったらちっとも変わらないこと。其れでは御機嫌良ろしう。」
御挨拶は頗る約めさせていただきました。