ピエール・アントワヌ・ポドゥアンからアルフレッド・デルヴォーへの手紙
アルフレッド、貴方は老いぼれのためにとても丁寧に秩序立てて文章を並べて下さいました。
おかげで内実が良く分かりましたよ。
いずれにせよ、このような私に、この上ない喜びを与えて下さった事は感謝以外にありません。
実は数年前、貴方が此処からパリに発った時、すぐに貴方を追おうとしたクレマティスを止めたのは私です。
クレマティスは自分の部屋で三日三晩泣きつづけてから、突然クレモナに旅立ちました。現在でも娘はクレモナで楽器制作の修業をしながら一人暮らしておるのです。
貴方への思いをいまだ断ち切れないでいるようですが、ヴァイオリンの制作にも命を懸けているようです。
先ずはイタリアに向かうと言う貴方の知らせに少々運命を感じ、述べさせていただいた次第です。
アルフレッド、私の宝。
貴方はやっと翼を広げてくれましたね。
18++年
+月+日
トゥーレーヌ