カトリーヌ･ド･レシァル公爵夫人からリシャール・ラリランダンへ
ロベール･ド･レシァル公爵は、私の願いを聴き入れ、｢そのような事なれば取るに足らぬこと。｣などと涼しい顔をして久方ぶりに、その腰をお上げになって下さいました。
リシャール様、此処にその内容を手短に御報告させていただきます。
シャルル・ド・ルヴィ伯爵、以後シャルル・ド・ルヴィ子爵は、コート=ドール県、ボーヌの西約30キロの所にある、ムーリノと言う湿地帯の干拓事業に従事する事を、陛下付けで命ぜられその旨はアルトワのロッシュ･コルボン判事を通して、特別文書にて通達がなされました。
これにてルヴィは、アルトワ近郊、言うまでも無くリール女子修道院のあの美しい建築物も、それが例え遥か遠方からであっても、もはや眺める事すら終生叶わぬ事となったのでございます。
リシャール様、大変御面倒なお願いではございますが、カスタルディ院長様、並びにジャンヌ･ド･ブランシュ夫人に、ご安心の程をお伝え下されば幸いでございます。
18++年
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パリ