山梨鐐平

シンガーソングライター

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7/28/2021

ピロン青年は、ジョゼッペ・ロッコと申す親方の工房の場所を丁寧に教えてくれました。
そこは小さな川や林の様な所を越えて行く、少々町外れにございました。
ポドゥアン先生、散策をしながら歩いておりますと、クレモナと言う所は、新しい物や文化が偶然にも入って来ない地区なのか、それとも敢えてそれらを受け入れない姿勢を貫き通しているのか、はたまた、はなから時代や社会の流れに一向に関心を抱かない人々が住む地であるのか、いずれにせよ過ぎて行くのが時間でありましょうから、その渦中でそれを超越して存在する物が心、魂なのであり、その代々の永続の流れの下にのみ進化、発展があると言う真理を、この地の人々は無頓着にも生まれながらにして収得していると考えざるを得ないのでございます。
それゆえに、当然この地の時代の流れを司る、時代の運命の力も、吟味に吟味を重ねる余裕に溢れかえっており、故に清らかな空気が此処に生じていると言う事を思い計るに至らしめるのでございます。

(つづく)