ディアーヌ･ド･モラレスからカトリーヌ･ド･レシャル公爵夫人へ
デルヴォー様はとても落ち着いておられます。
しかしながら、アトリエでポドゥアン先生と少しの間、お仕事のお話をされる時以外は、クレマティス様の寝台からは容易には離れてくれません。
食事もしかり、デルヴォー様はひとり静かに、今日もクレマティス様のお部屋でいただくのでございます。
ポドゥアン邸には良く働く若い女中一人と、年の頃は70歳くらいの、ポドゥアン先生がマダム･ポヌーズと呼ばれている料理番がおられます。
カトリーヌ様、このマダム･ポヌーズの腕は相当なもので、面映ゆい事にございますが、食後のお菓子のお代わりに、甚だ我慢が必要な時もあるほどなのでございます。
因みに、このマダム･ポヌーズの夫様が庭師でございまして、ポドゥアン邸の見事なお庭の維持、管理を任されているのでございます。
今朝も早くにジャック･デルヴォー医師は邸を尋ねて下さり、クレマティス様のお熱や、脈拍等を計ると、息子であるデルヴォー様に｢案ずることは何も無いのだよ。｣と言って、お帰りになられました。
18++年
+月+日
トゥーレーヌ