するとそこに、ポドゥアン先生が徐にお部屋に入っていらしたのです。
ポドゥアン先生は両の手に、金箔で装飾された箱をお持ちで、その時、私達にこのように言われたのでございます。
「おや皆様おそろいで・・・。今日私は、亡き妻のクローゼットを開けまして、その形見の中から、クレマティスが宝物の如く大切にしていた、そこのステッキと、この首飾りを、娘の傍らに置いておく事を思ったのです。」
そうして、ポドゥアン先生が静かにその箱の蓋を開けますと、そこから黒いビロードに包まれた、それはそれは美しい、大きな薄紅色のトパーズをあしらった真珠の首飾りが現れたのでございます。
驚くことに、カトリーヌ様。
その首飾りは私達の眼前で、今あたかも呼吸をしたかのように、僅かに動いて見せたのでございます。
18++年
+月+日
トゥーレーヌ