リッカルド「女性の団員もいたんだね。」
アレッキーノ「ああ、ペルシャの王女や、博士、犬や猫もいたんだよ。」
リッカルド「・・・誰かが助けてくれたの?」
アレッキーノ「その若い小間使いが僕達を捨てる前に、そっとフタを開けて中を見たんだよ。
ところが、その小間使いは僕達を箱から出すと、ひとりひとり柔らかい布で拭いてくれたんだ。」
リッカルド「優しい人でよかった。」
アレッキーノ「それから僕達の糸を丁寧に束ねて、王妃のお部屋の奥の奥、そのもっと奥の誰も知らないお部屋のカーテンの影に釘を打って、僕達を架けてくれたってわけさ。」
リッカルド「やっと外の空気が吸えたんだねっ!」
アレッキーノ「ああ、しかもひょんなことから王妃の音楽教師のドクトンヴィル夫人が僕達を見つけて窓辺に架けてくれたんだ。
おかげで、ツバメさんやカモメさん、突風さんやお魚が、ナポリに暮らす君のところまで僕を運んでくれたんだ。」
(つづく)