石垣に並んで座ったリッカルドとアレッキーノは、ガラスのように凪った海を見つめておりました。
そこへ一羽のカモメが降り立つと、アレッキーノに言いました。
カモメ「やあ、こんな所でまた会えるとは思わなかったよ。」
アレッキーノ「君は、あの時のカモメさんだね。
ねえ君、ヴァイオリンを抱えた可愛い少女を見なかった?」
カモメ「餌にならない物にはとんと興味がなくってね。」
アレッキーノ「名前はナンネルって言うんだ。ちょいとぐるりと探して来ておくれよ!」
カモメ「この辺りはタカも多いから、やめておくよ。」
カモメは行ってしまった。
(つづく)