突然現れた者は、突然去ってゆきます。
勝ち誇ったようにギラギラと天の真上にいたのは太陽でした。
漁師さん達が素早く帆を張ると船は滑り出します。
小さな魚達も銀色のお腹を出して、船の回りを飛び跳ねています。
中にはあやまって船の上に着地してしまう者もおりまして、リッカルドはそんな魚を一匹一匹、海に帰してあげました。
小さな島がありました。
漁師「リッカルド、あの島を越えたらじきにピサだ。港に着けるから、後は辻馬車でフィレンツェに向かうのだよ。達者でなっ!」
リッカルド「僕は必ず石垣の村に戻ります。漁師さん!ありがとうっ!」
(つづく)