パンタレオーネ氏「漁師の王子、アレッキーノ。なんと御礼を申してよいのやら・・・。我々が再び歌って踊って、芝居が出来る日が来ようとは・・・。」
そこで先程からもじもじしていたアレッキーノが口を開きました。
アレッキーノ「パンタレオーネさん、ナンネルはこの世のものとは思えないほど、それは素晴らしいヴァイオリン弾きなんです・・・。」
パンタレオーネ氏は微笑みを隠すことなく言いました。
パンタレオーネ氏「わかっているよ、アレッキーノ。しかるに劇団に入っても、手をつないだままではヴァイオリンは弾けませんぞ。」
アレッキーノ「じ、実は、手は離れるんです。ほら・・・。」
一同「なーんだ。」
パンタレオーネ氏「ナンネル。貴方の入団を大歓迎いたしますよ。どうかその演奏で、我々の人生に、いやっ!今というこの混沌の時代に明るい色を添えて下され。」
(つづく)