【え】
永遠〔えいえん〕
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博士「見えた・・・。永遠が見えましたぞ。
さぁ君、この望達鏡を覗いてみたまえ。」
助手「こっ!これはっ!ゲルマント公爵夫人の寝室ではございませんか!」
博士「左様。赤っ裸の公爵夫人にパウダーを振り掛けている髪結いの手さばきを、観望してみるがよい。」
助手「はい・・・。」
博士「公爵夫人の永達の若さの秘訣。そしはあのお粉の振り方にあったのじゃ。
見てみい、足継ぎの最上段から純白のタルクを静かに霧雨のように降らしておるのが見てとれよう。」
助手「・・・・。」
博士「もっと目をかっぽじれっ!」
助手「博士・・・。」
博士「うむ。」
助手「博士は・・・。」
博士「なんじゃ、はっきり言うてみい。」
助手「博士は下種(げす)です。」
博士「だーまらっしゃい、この安本丹(あんぽんたん)!洒落も分からんクソ真面目な学者になったら行かねぬと言うことを教えとるのが分からんのか!あぁ、ゲルマント公爵夫人!神秘の香り。あの美しい微笑えみ、正に芸術!永達の美!遂に基の真を発見せしっ!」
助手「わたくし、永遠に一服してまいります。」
※〔永遠〕という用語は、高取様よりご提案いただきました。