山梨鐐平

シンガーソングライター

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6/22/2021

思いがけない出会いにより、この美しい修道女に気でも狂れたかの様に恋愛感情を抱いてしまったシャルル・ド・ルヴィは、執拗にしてブランシュ夫人に近づこうと工作を繰り返します。
ところが、名だたるカスタルディ院長様の壁は、修道院のそれよりも厚く高く、ルヴィの願いは叶うどころか、自身の手抜かり、間抜けさを院長様に見抜かれ、指摘される始末。
ただ一人、歯軋りに歯軋りを重ねていたに相違ないルヴィは、あろう事か族を雇い入れ、ブランシュ夫人の誘拐を企てるに至ったのでございます。
その日正門、裏門の鍵が族によってこじ開けられ、同時に火薬玉を使って裏庭の道具小屋が爆破されたのです。
連れ去られたブランシュ夫人は、リール坂下のルヴィの別荘に監禁されますが、とっさに暖炉の上に飾ってあった剣を手に取ると、襲い掛かって来たルヴィを素早く避けるようにしながら床に伏せ、そのまま身体を回転させながら、ルヴィの左足の腱を切ったのでございます。

(つづく)