それでも動物の様に飛び動き、片足で迫り来るルヴィの動きを止める為、今度は右のふくらはぎを、ブランシュ夫人の剣は貫いたのです。
とうとう両膝を床に付けたルヴィではあっても、その根っからの芳しく無い性格から、観念と言う判断自体の意識の持ち合わせが無く、尚もしつこく、ブランシュ夫人のウールギャバジンのスカートの裾をむんずと掴んだのです。
その時ブランシュ夫人は、ルヴィの手首若しくは腕を切り落とそうと考えましたが何故か躊躇し、御自身のスカートを切るに及んだのです。然るに誤ってスカートと一緒に御自分の御足を、正確に申し上げますと右足の膝上20センチ辺りを深く傷つける事となってしまったのです。
(つづく)