その一つに、ブランシュ夫人は剣さばき等の稽古を積むどころか、今までペティナイフひとつ手にした事が無いのでございます。
二つに、脇腹の何処を貫通させれば内蔵の損傷を免れるかの知識を、ブランシュ夫人が持つ因も無く、
三つに、ディアーヌ曰く｢ジャンヌ様は血を見ただけで卒倒してしまった事がある。｣
レシァル公爵夫人、公爵夫人御自身も、これは誰しもが存ずるところではありますが、元の姓はカトリーヌ･ド･アングレーム様であり、ブルゴーニュ家の王族の血を引いたお方で有られます。
王族の血統、その運命の力とは如ものか、その通常の知識や判断力では到底おもいはかる事の出来ない、しかしながら確かな現象を、この度私は目の当たりにさせていただいたのであります。
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