山梨鐐平

シンガーソングライター

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7/8/2021

目を覚ました時、私は床に倒れておりましたが、ペトロニーユがその膝の上で私の上半身を優しく抱えて下さっていたのでございます。
此処がいったい何処なのか、今がいつなのか、私自身は誰なのかは知れませんでしたが、今私を抱きしめている修道女がペトロニーユであると言う事だけは、はっきりと理解出来ていたのでございます。
するとその時、ペトロニーユの顔が徐に近づいて来るや、その唇で私の唇を塞いだのです。
しばらくの間、ペトロニーユはその舌で私の上あごを擽る様にしながら、心の中に命を吹き入れてくれたのです。
それゆえ、辛くも私は失った意識を再び得る事が出来たのでございます。
気が付けば部屋中のローソクの炎は消えておりました。
私の感動の涙を、ペトロニーユがその頬で拭うと、私共は今一度、無の時間に浮遊する旅人と化していったのでございます。

(つづく)