大きな駅に到着しました。
ピエルロじいさん「サン・ジミニャーノか。リッカルド、フィレンツェまでは後半分だ。」
リッカルドもアレッキーノもピエルロじいさんも、顔から靴に至るまで全身灰色です。
お嬢様方の髪やドレスも、お馬も馬車もみんな灰色。
今日のようにお天気の日には、人、物、皆平等である事を、このようにして砂煙は表現するのです。
そこへ、乗り合わせていた同様に灰色のご婦人が、水で絞った麻布を手に、ピエルロじいさんに言いました。
ご婦人「さぁ、召し使いのお方、これで王子のお顔をぬぐってさしあげて下さいな。
どんなに御扮装を凝らしても、その品格あるお顔立ちまで隠すことは、ままならない事でございます。」
(つづく)