山梨鐐平

シンガーソングライター

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12/26/2021

リッカルドはアレッキーノをナンネルのとなりに並べました。
同じ一本の木から作られたアレッキーノとナンネルに言葉はいりません。ただ静かに見つめあい、時代の流れを光速でさかのぼり、モンセラートという山の頂き付近まで旅立っていたのです。二人は真のふるさとにいて、その土の匂いを嗅いでいたのでした。

その時、お店の扉が開く音がしました。

ピオヴァーノ「これは、これは。本物のクラウディオ王子。このような狭苦しい所に、ようこそおいで下さいました。」

王子「本物とは・・・?」

ピオヴァーノ「いや、王子の中の王子! そのような意味合いで申しあげました。」

王子「あ、そう。」

(つづく)