その時、作業台の下でリッカルドは夢を見ていました。
父とふたりで漁に出て、荒波を小舟で乗り越えてゆく夢でした。
パオロ「リッカルド!帆さばきが上手になったなっ!」
父の言葉にリッカルドの心の中は喜びでいっぱいになっていたのでした。
ピエルロじいさん「デュノワ、戻って王子に言うのだ。工房の中は作りかけの人形と木屑ばかりだったとな。
時に貴殿はフランス人だったな。イザベル王妃の別宅の場所をご存知か?」
デュノワ「はっ、パリの中心から10km弱のところにある西郊の街、ナンテールの丘にございます。」
ピエルロじいさん「よろしい。デュノワ、達者でな。」
(つづく)