ロベール・ド・レシァル公爵からアルフレッド・デルヴォーへの手紙
どんな事件でも蓋を開けてみれば、その原因為るものは小さな事と申せましょう。とは言うものの、その原因の原因は私の下半身の不実さから生まれ出た騒動である故、それを軽んずる事は決して許される事では無いと、そこは深く承知いたしているところであります。
ところで、公爵夫人の願いもあり、肖像画は一旦貴殿の元にお返し致す事と相成りました。
シャルダンを越えた貴殿のその超細密技法により、お気の済むまでお仕上げいただける事を望むばかりでございます。
ご報酬の方はこの度の失礼等も含め多額に為るため二回に分けての支払いと相成ります。付随して貴殿のアンリ四世ホテルの滞納分は既に支払い済みとなっており、ご心配無きよう。
貴殿もご存知のマランとクロードの親子は、昨夜から荷物をまとめておりましたが、夫人の同意を得て荷を解かせました。マランがいなければこの館はどうかなってしまうし、クロードがいなければ、クラヴァットが結べませんからね。
18++年
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