山梨鐐平

シンガーソングライター

◀ 戻る

10/27/2021

リッカルドは石の階段を駆け降りると岸辺まで走りました。
いつものように走りながら靴を脱ぎました。
その日、太陽も海風も、砂もカモメ達も、世界中の全てが自分のことを守ってくれていることを、リッカルドは強く感じたのでした。
父の舟は波を利用して一気に到着します。
いつもと変わらない様子の父でした。
父「待たせたな。」
リッカルドは海に入って父と一緒に小舟を引き寄せました。
なにも言わず語らずとも、心がしっかりと繋がっている親子なのでした。
のぞいて見れば、小舟の中はからっぽでした。

(つづく)