デュノワ「ピエルロ・デ・シーカ将軍!」
ピエルロじいさん「声をおとすのだ。」
デュノワ「はっ!」
ピエルロじいさん「奥の作業台の下にリッカルドが隠れているから、そちらを見ないで小声で話すのだ。」
デュノワ「リッ、リッカルド王子がっ!リッカルド王子はお元気なのでございますね!」
ピエルロじいさん「パオロとわしとで守っておるから案ずることはない。帰ったら女王にもそのようにお伝えしてほしい。」
デュノワ「はっ。パオロ・カッシーナ伯爵殿もお元気でございましょうか。」
ピエルロじいさん「りっぱな漁師になったよ。」
デュノワ「しかしながらデ・シーカ殿、あなた様はなぜにこのような所に・・・。」
ピエルロじいさん「双子の心と心が呼び合っている運命の力を、何人も止めることは出来まい。ただ流れに乗ってやって来たまでだ。」
(つづく)