レシァル公爵夫人からデルヴォーへの手紙
貴方とお会いする+日のその前に急遽お伝えしなければならない事が持ち上がりました。
面目も無い事に、肖像画は館内のクロードの部屋から出てまいりました。執事頭マランの息子であるクロードの言い分によれば、公爵の元愛人ジャンヌ・ド・ブランシュに頼まれてあの日、肖像画を壁から外して自身の部屋に隠し持っていたそうなのです。ブランシュ夫人の魅力に打ち勝つ事が出来なかった自分を深く恥じ入って昨夜、公爵に自首をして来たのです。
デルヴォー、実は恥じているのは私の方なのでございます。
私は密かにディアーヌを疑っていたのです。
私に対する敬愛からレシァル公爵の悪戯な愛を受け入れてしまったディアーヌを・・・。
公爵から捨てられたジャンヌはディアーヌに恨みを抱いたのでしょう、彼女を社交界から弾き出そうと目論んだのです。
いろいろな事が繋がってまいりました。
私の了見の狭い心は、そんなジャンヌの愚挙の片棒を担いでしまったのです。
ともかくも最初に貴方に、次いでディアーヌに、私は心からの謝罪を申し上げなければなりません。
18++年
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