ぽつりと雨が落ちました。
次第に大粒になり、見る間に前が見えないほどの土砂降りとなりました。
案のごとく、冷たく強い風もお出まして船を揺らしはじめました。
帆柱の上から”シャーッ!”と大声で嵐は叫びます。
アレッキーノ「うゎーっ!風さんが怒っているよ~っ!」
若い漁師さん達は帆柱にのぼると、何本もの紐をといて帆を全部下ろしてしまいました。
リッカルド「てっ!転覆しそうですっ!」
ピエルロじいさん「転覆する時はするし、しない時はしないから、小さいことは気にするな。帆柱につかまって晩飯の事でも考えていろ。」
(つづく)