それからというもの、リッカルド少年はどこへ行くにもアレッキーノと一緒でした。
その日二人は、登に登った丘の上から宝石のごとくに輝くナポリ湾を眺めていました。
アレッキーノ「世界は美しいなぁ!広いなぁ!リッカルド、僕と一緒に冒険の旅に出ないかい!?」
リッカルドは静かに答えました。
リッカルド「僕の世界はナポリとナポリ湾近海さ、それで十分だよ。」
アレッキーノ「世界中を見てみたくないのかい?いろいろな人や物との出会いにワクワクしたくないのかい?」
リッカルド「どこにも行かなくても、僕には毎日が冒険なのさ。」
アレッキーノ「・・・・。」
リッカルド「父のようになりたいんだ、それが僕の冒険さ。世界はここにあるんだよ。」
そう言うと、リッカルドは自分の胸に手をあてた。
(つづく)